「セキスイかわらU」は、1975年~2009年まで販売されていた屋根材です。
低勾配屋根にも施工可能だったため、トタン屋根から瓦屋根まで対応可能な屋根材の種類が多く、屋根をリフォームするなら「セキスイのかわらU」と言われるほど人気のあった屋根材でした。
しかし、環境問題を考え完全無石綿化(ゼロアスベスト)して以降、屋根材の剥がれやひび割れなどの問題が起こるようになり、屋根無料見積.comにも多くのご相談を頂くようになりました。
このページでは、今まで頂いたご相談例を元にゼロアスベスト化して以降の「セキスイかわらU」で起こるようになった問題とその原因、対処法をセキスイかわらUの専門家が解説します。
「セキスイかわらU」で起きている現象(問題)と相談例
「セキスイかわらU」は、「軽い・強い・美しいという屋根に求められる3つの条件を満たし快適で風格のある住まいを作る」というコンセプトのもと積水化学工業株式会社から製造販売されていた屋根材です。
その後、アスベストによる発がん性の問題を考え、屋根材に含まれる繊維を鉱物繊維の石綿からポリビニルアルコール繊維のビニロンに変更。
他の屋根材メーカーより10年以上早い1991年に完全無石綿化(ゼロアスベスト)されました。
しかし含有繊維を石綿からビニロンに変更したことで様々な問題が発生するようになり、2009年に「セキスイかわらU」の販売を終了し、2013年には全ての屋根材を販売終了して撤退。
「セキスイかわらU」のアフターメンテナンスについては、セキスイルーフテックが行っています。
下写真は、業者に言われ「こんなに傷んでるなんて知らなかった!」というお客様からの相談例。
「セキスイかわらU」の表面が白く傷んで、乗ると割れる状態だが、どうすれば良いか?とご相談頂きました。
かわらU本体の塗膜が全て剥がれていますが、これほど傷んだかわらUを見たことがありません。
塗膜が剥がれてしまうと水分を含み易くなるため降った雨が乾きにくくなります、そのため屋根全体にコケが生えていました。
このかわらUは、コロニアルの上にカバー工法で施工されていましたが、一度コロニアルまで戻してからスーパーヒランビー極み-MAXで再カバー工法しました。
下の写真は、隣家の屋根を見に来た知り合いの屋根屋さんに話したら、当サイトの電話番号を教えられたという例です。
このタイプは、セキスイかわらUの和風のし棟仕様で以前に瓦から葺き替えたものです。
症状としては、屋根材表面の白化現象、塗膜の剥がれ、基材劣化による崩れ・ヒビや屋根材の割れ等が見られ塗装では対応できない状態でしたので当サイトで屋根を葺き替えさせて頂きました。
瓦を葺き替えてから、それほど年数が経っていなかったので野地板は傷んでいなかったので、そのまま使うことにしてガルバリウム鋼板のスーパーガルテクトに取り換えました。
「セキスイかわらU」の屋根リフォーム、タイプ別の工事方法
ゼロアスベストタイプの場合。(1991年以降)
このタイプは、かわらUの基材(有機繊維強化セメント)と表面化粧層(アクリル焼付塗装)が剥離し易く、屋根材表面の白化現象・塗膜剥がれ・ひび割れ・踏み割れの原因になっています。
塗装時の高圧洗浄は、傷んだかわらUがさらに剥がす原因にもなりますし塗装しても長く持ちません。
そのため適切な工事方法は、かわらUを剥がしての葺き替えになります。
アスベスト含有タイプの場合。(1990年まで)
このタイプは、かわらUの素材に石綿が使われていたため強度があり、ゼロアスベストタイプと同じ症状は表れませんが、経年劣化による痛みやコケなどで屋根材の表面が汚れている場合もあります。
そのため症状により、塗装または葺き替えのどちらかを選ぶことが可能です。
剥がれ、踏み割れ。
下画像は、「セキスイかわらU」の塗膜剥離と踏み割れ例です。
屋根に載って状況確認が出来ないほど傷んでいる例も見られます。
セキスイかわらUの踏み割れ強度について。
踏み割れ強度試験の内容:屋根の上を人が歩くケースを想定し、どの程度の荷重に耐えられるかをセキスイで調べた試験です。
3寸勾配の屋根を運動靴を履いた普通の歩行速度で100回歩いて踏み割れの有無を確認。
山部では140kgの人が歩いても0回、谷部は2回でした。
アスベスト含有タイプは強度が高く上記のような結果が出ていましたが、ゼロアスベストタイプをお使いのお客様からは、屋根上を気を付けて歩いても割れるというご報告を頂いています。
屋根の上を歩く時の注意点として、立って歩くのではなく出来れば四つん這いになり体重を分散するようにして移動されることをお勧めします。
屋根無料見積.comでの「セキスイかわらU」葺き替え工事
屋根無料見積.comで葺き替えさせて頂いた横浜市での事例をご紹介します。
20年前、瓦から「かわらU」に葺き替えたそうですが、他業者から屋根の痛みを指摘され、どうしたら良いか?とお電話頂きました。
台風が心配との事でしたが、屋根を見させて頂くと陥没やひび割れがあり台風で飛散する可能性がありました。
ガルバリウム鋼板へ葺き替えさせて頂くことになりましたが、お客様が心配された台風時期でもあったので工事までの間、陥没・ひび割れ部分を粘着タイプの防水シートを貼り付けて養生しておきました。
既存の「セキスイかわらU」とタルキを撤去・処分。
古い野地板を補強するため構造用合板を重ね張りしてルーフィング(防水シート)を張っていきます。
新しい屋根材は、横暖ルーフのプレミアム。
このタイプは、ガルバリウム鋼板に2%のマグネシウムが添加されていて通常のガルバリウム鋼板より3倍以上耐食性が高くなっているのに加え、超高耐候の「フッ素樹脂遮熱鋼板」が採用され色褪せが起こりにくくなっています。
いくら良い屋根材を使っても職人の腕や工事内容が悪くては工事後に雨漏りトラブルが起こる原因になりますが、工事は一流職人がメーカー工事規定に沿った内容で行われており安心です。