近所で屋根を工事していた業者や廻ってきた業者に「屋根が浮いている」「屋根が何かおかしい」と言われて初めて屋根の異常に気付くお客様も多いようです。
業者が指摘した「屋根が浮いている」とは、どんな状況の事なのか?
「屋根が浮いている」とは、基本的には「棟包みの浮き」を言われている場合が多いですが、屋根材本体が浮き上がっている場合もあります。
このページでは、カラーベスト・コロニアル(スレート)屋根で見られる「屋根の浮き」について、修理が可能なのか?修理以外の対応策が必要なのか?など部位別の原因と対処方法について説明します。
1:屋根の棟が浮いている場合
カラーベスト・コロニアル(スレート)屋根の浮きには2種類ありますが、ここでは屋根の棟浮きについて説明します。
1-1:棟包みだけが浮いている場合
屋根寿命に影響する屋根の棟浮き。
棟浮きの原因 | 棟内部に打たれた笠木が傷んで棟包みを横方向から固定する釘が抜けて起こる。 または、棟包み内部にある笠木自体が屋根本体から浮き上がって起こる。 |
対処方法:修理可能か? | 修理可能です。 下画像のように棟内部の笠木を取り換えてから棟包みを固定し直す修理ができます。 |
雨漏りの可能性は? | 防水シートが機能していれば雨漏りすることはありません。 |
ワンポイントアドバイス | 棟浮きに気づいた時点で出来るだけ早く修理することをお勧めします。 |
1-1-1:棟修理の方法
カラーベスト・コロニアル(スレート)屋根の場合、棟部の修理方法は傷んだり腐ったりした笠木を取り外して新しい笠木に取り換えます。
その後で棟包みを取り付け、棟包み側面から中にある笠木に固定するため横方向から釘を打ち込んで完成です。
1-1-2:決してやってはいけない棟修理の方法
この写真は、屋根構造を知らない業者が修理した例です。
棟包みを固定するために、浮いた棟包みを上から脳天打ちで固定した例です。
絶対にやってはいけない方法で、修理とは呼べない方法です。
これは、正しい修理方法ではないため内部の笠木を腐らせるだけでなく雨漏りの原因にもなります。
1-2:棟包みが剥がれ飛んだ場合
強風・台風で剥がれ飛ぶ棟包みの剥がれ
棟が剥がれる原因 | 棟包み内部の笠木が腐ると棟包みが浮き上がった後、強風・台風で剥がれ飛んでしまいます。 |
対処方法:修理可能か? | 棟部の修理だけで済む場合もあります。 |
雨漏りの可能性は? | 棟包みだけ飛んだ場合は雨漏りする可能性は低いですが、笠木ごと飛んでしまった場合は年数が経過している事が多く雨漏りする確率が高くなります。 |
ワンポイントアドバイス | 築年数が20年以上の場合は経年劣化により他の部分も傷んでいる可能性が考えられ、屋根自体の張り替えが必要になることもあります。 |
棟剥がれによる影響
上の右写真は、近所に飛散した棟包みをお客様が拾い集めて写したものです。
棟包み厚さ0.35mmの亜鉛メッキ鋼板またはガルバリウム鋼板で作られていて薄く軽い部材のため、きちんと固定されていない状態では強風・台風の影響を受けやすく簡単に剥がれ飛んでしまうため自宅や近隣の家屋に被害をもたらす事があります。
カーポートの屋根を壊したり、車や外壁に傷を付けるなどの被害が起こるため、年数が経過している場合は棟の浮きだでなく棟内部の笠木の状態を確認することをお勧めします。
2:屋根の本体が浮いている場合
カラーベスト・コロニアル(スレート)屋根の浮き。
ここでは屋根材本体の浮き=反り(口開き)について説明します。
本体が浮く原因 | 下地板の強度不足、屋根本体を固定する釘の打ち込み過ぎなど施工不良が原因です。 |
対処方法:修理可能か? | 修理は不可能です。 |
雨漏りの可能性は? | 防水シートの劣化と共に雨漏りします。 |
ワンポイントアドバイス | 雨漏りで下地まで腐る事例が多く見られます、早急に屋根を葺き替える必要があります。 |
カラーベスト・コロニアルに似た屋根:パミール屋根の浮き
この屋根材は、カラーベスト・コロニアル(スレート)屋根と似ていますが、パミールという屋根材です。
この屋根も本体が浮いているように見えますが、カラーベスト・コロニアル屋根とは原因が違います。
カラーベスト・コロニアル屋根の場合は、1枚の屋根材で説明すると。
上側が沈み込む事が原因で下側が浮き上がってしまい、そこに隙間が生じ、それが本体の浮きとして見えています。
このパミール屋根の場合は、屋根材自体が薄く剥がれて表面部分が持ち上がり、それが浮きとして見えています。
その原因は、下地板の問題や施工不良によるものではなく、ゼロアスベスト化したことによる弊害=屋根材自体に問題があるため、屋根を張り替える以外に方法がありません。
本体が浮く原因 | 屋根材自体の剥離。 |
対処方法:修理可能か? | 修理は不可能です。 |
雨漏りの可能性は? | 防水シートが機能していれば雨漏りしません。 |
ワンポイントアドバイス | 剥離した屋根材が強風・台風で飛散する可能性があるので、劣化が激しい場合は屋根を張り替える必要があります。 |
「屋根が浮いている」と言われ、修理で済まない場合。
カバー工法を勧める業者が多いですが「本当にカバー工法で大丈夫か?」
と、お問合せ頂いたお客様宅を実際に診断した結果。
カバー工法が正しい施工法だった割合は約40%、下地が傷んでいて葺き替えが適切だった割合が60%でした。
下地が傷んだままカバー工法してしまうと屋根が強風で剥がれる可能性があるため施工法には注意が必要です。
また、多くのお客様がガルバリウム鋼鈑屋根への変更をお考えですが、ガルバリウム鋼鈑屋根は工事後の雨漏りトラブルが多い屋根材です。
トラブル原因は、屋根材メーカーの施工仕様を守っていないからですが、守って工事している業者は10%程度しかいません。